【オフィシャルインタビュー②公開】
2022/01/01 (Sat)
「水色とセーラー服」
鮮烈なギターサウンド、疾走感に溢れたバンドグルーブ、切なくも愛らしいメロディが響き合うポップチューン。“思春期、夏、恋愛”を鮮やかに映し出す歌詞も印象的だ。
「ここまで“夏!青春!”という曲は初めてだったので、新鮮でしたね」(清水)
「サビのアレンジも一発で“これや!”という感じで決まって」(坂)
「裏打ちのビートを取り入れて、より爽やかなイメージになりましたね」(原)
「ストリングスを入れたのも、この曲が初めて。ずっとやってみたかったし、バンドにとっても新しい第一歩になったかなと」(浜口)
「ラストラブレター」
軽快なシャッフルビートとともに綴られるのは、憧れの女の子に対するピュアな思い。ノスタルジックな旋律とコーラスワークも、10代の恋愛模様を爽やかに彩っている。
「主人公は、ちょっと小悪魔的な女の子に振り回される男子。舞台は高校なんですけど、すべて僕の妄想です(笑)」(浜口)
「サビのメロディがとにかく良くて。飛雄也にも“めちゃくちゃいいな!”って言いました」(清水)
「ここまでテンポが速いシャッフルの曲も初めてでしたね」(原)
「ほかにもシャッフル系の曲があるので、アレンジするときは、違いを出すことを意識してました」(坂)
「寝ても覚めても」
フォーキーな雰囲気のメロディとともに歌われるのは、<目覚めるたび/また君に恋をして>という愛らしさに溢れた歌詞。メンバー自身が“moon dropらしさが出せた”と胸を張るアルバムのリード曲だ。
「サビがパッと浮かんできた瞬間に、“これがリード曲だな”と思いましたね。わかりやすくmoon dropのいいところが出てる曲だなって」(浜口)
「懐かしい感じのメロディもいいし、歌詞も飛雄也らしくて。確かに自分たちらしい曲だと思います」(清水)
「90年代っぽいメロディですよね。僕自身も初めて聴いたときから、すごくいいなと思いました」(原)
「『オレンジ』もmoon dropらしい曲だと思ってたんですけど、それをさらに進化させたのが『寝ても覚めても』なのかなと」(坂)
「Uとピュア」
<君だけが知る僕でいるから/僕だけが知る君でいて>に象徴される、どこまでも純粋な愛をリリカルに映し出すミディアムナンバー。“愛だの恋だのラブソングだけを歌い続ける”バンドの特徴が端的に示された楽曲だ。
「『Uとピュア』は物語を作ったというより、実際に自分が思ったことをもとにしていて。“相手のいいところしか見たくない”という曲ですね」(浜口)
「生活に寄り添ってる感じだったり、ほのぼのとマイペースな雰囲気だったり。いちばん飛雄也らしい曲かも」(清水)
「“<自分より僕のおかずを多くする君のことだから>”という歌詞も飛雄也っぽいです(笑)」(坂)
「僕もこの曲がいちばん“らしい”と思います(笑)。演奏的には音数を減らして、ハイハットのニュアンスなどを工夫しましたね」(原)
「この雪に紛れて」
オルゴールの可憐な音色、アコギの素朴な響き、そして、クリスマスの光景とともに描かれる、あまりにも切ない恋愛模様。ロマンティックにして悲しい物語を描き出すこの曲は、“ドラマを作る”というアルバムのテーマをわかりやすく示している。
「自分よりちょっと年上の女性を主人公にした、大人っぽいラブソングを書いてみたくて。だいぶ背伸びしましたけど、“自分がやりたいことに手が届いた”という手ごたえがありました」(浜口)
「ギターのレコーディングでいっぱいいっぱいだったんですけど、録り終わってから歌詞を改めて読んで、“これはやばいな”って(笑)。自分たちにとっても新鮮な曲になりました」(清水)
「最初に聴いて、クリスマスの雰囲気だなと思って(笑)。ストーリーが浮かびやすい曲ですね」(坂)
「スネアをローピッチにして、色気のある音で録れて。曲に合ってると思うし、満足してます」(原)
「リタ」
クラシカルな弦の響きから始まるのは、“いつまでも君と一緒に暮らしていきたい”と願う“私”の思いを映し出す歌。日常の何気ない幸せと永遠の愛がナチュラルにつながる、どこまでも美しいラブソングだ。
「この曲も“生活”という感じですね。高いお店よりも、お金がないときに、家で食べる余りもののごはんのほうが美味しいと思うタイプなので」(浜口)
「壮大なストリングスもすごくいいですね。レコーディングの過程のなかで、イメージがすごく変わった曲です」(清水)
「イントロ、サビ、アウトロと、バンドとストリングスが重なるところがいいなって。聴き返すたびに良さが増していく曲だと思います」(坂)
「ライブでは、同期でストリングスの音を流しているですけど、僕がパソコンで操作しているんですよ。緊張しますね(笑)」(原)
「doubt girl」
鋭利なギターフレーズ、シリアスな手触りのメロディとともに、朝帰りを恋人に責められるバンドマンを描いたアッパーチューン。「なんか私に言うことは?」と冷たく言い放つ声は、ロックバンド“カネヨリマサル”のボーカル・ちとせみなが担当。
「アルバムのなかでも、かなり攻撃的な曲だと思います。珍しく、一樹が“歌詞に共感した”って言ってくれました(笑)」(浜口)
「“打ち上げだから仕方がない”という歌詞、すごくわかるなって(笑)」(原)
「君と夜風」
ハイハットによるカウントから一気にスピード感を増していくバンドサウンドが気持ちいい、極上のロックナンバー。エモーショナルな歌声、生々しい手触りの演奏を含め、バンドとしての魅力がダイレクトに伝わる。
「以前リリースしたミニアルバムにシークレットトラックとして収録していた曲をバンドでアレンジしました。あまり手を加えず、“そのまま”という感じですね」(浜口)
「アルバムのなかでも、すごくシンプルなアレンジになってます」(坂)
「四月が君をさらってしまう前に」
卒業を間近にして、遠くに行ってしまう“君”と前に進めない“僕”の関係を描いたバラード。叙情的なメロディ、春の情景と主人公の心象風景が重なる歌詞がゆったりと広がる。
「『水色とセーラー服』が夏、『リタ』が秋、『この雪に紛れて』が冬の歌なので、春の曲も作りたくて。アルバムのなかで、いちばんバラードらしい曲ですね」(浜口)
「打ち込みでデモを作って、プロデューサーのSUNNYさんと共有しながらアレンジしました。打ち込みは最近はじめたんですけど、思った以上に細かいところまで作り込めるし、今後も続けたいですね」(原)
「途中で転調するんですけど、それもSUNNYさんのアイデアなんですよ」(坂)
「ギターに関しては、SUNNYさんが作ってくれたフレーズもあったんですが、好きなように弾かせてもらいました(笑)。“いいね”と言ってもらえて安心しましたね」(清水)
「モーニングトースト」
フォークソング的な手触りのサウンドとともに、日常のなかにある何でもない幸せを歌った楽曲。穏やかなイメージの歌声も心に残る。
「これも生活感がありますね(笑)。のんびりした曲がほしいなと思って作りました」(浜口)
「飛雄也に“あんまりカッコよくなくていい。間抜けな音がほしい”と言われました(笑)」(清水)
「ゆれる」
恋人と別れた後、“君”がいない日々を淡々とした筆致で描いた楽曲。アコギと歌を中心としたオーガニックなアレンジ、語り掛けるようなボーカル、情景が浮かんでくる歌詞がナチュラルに共存している。
「歌詞はほぼ自分のことですね。確かお酒を飲みながら、とぼとぼと歌ったのがきっかけだったと思います」(浜口)
「“<行き慣れた居酒屋も 住み慣れた1Kも>”もそうですけど、すごく具体的に描かれていて。好きな曲ですね」(坂)
「オレンジ」
90年代J-POPにも通じるメロディ、終わりゆく夏と青春を描いた歌詞を含め、moon dropの本質が込められている。ファンの間でも支持される、バンドの代表曲の一つ。
「1stミニアルバム(『花束のかわりに』)のリード曲で、ずっとライブでもやってますね」(浜口)
「最初の全国流通盤に収録されている曲だし、自分たちも思い入れがあって。このタイミングで録り直せたのはよかったです」(清水)
「最初のレコーディングのときはまだバンドに加入してなかったので、この4人で録れたのは嬉しいですね」(原)
「本当に何度も演奏してきた楽曲だったんですけど、改めて曲に向き合えたのもよかったのかなと」(坂)
「ex.ガールフレンド」
題名通り、元カノに向けたギターロック。心地よく疾走するビートとともに<君の唄を歌ってるんだよ/バカみたいだろ>というフレーズが響く。
「2020年にリリースしたEP(『告白前夜e.p.』)に入っている曲で、何度もライブで演奏してますね。ライブ映えする曲だと思います」(浜口)
「ちょうどEPをリリースするタイミングで、コロナの影響でCDショップが閉まって。EPの存在感が薄くなった気がしていたので、もう一度この曲をフィーチャーできてよかったです」(清水)
取材・文:森朋之