【moon drop 対バンツアー2021 渋谷公演 ライブレポ公開!】

2021/11/26 (Fri)

三重県伊勢市発“愛だの恋だのラブソングだけを歌い続けるバンド”、moon dropが「moon drop対バンツアー2021」の最終公演(ゲスト/KALMA)を東京・渋谷TSUTAYA O-WESTで開催した。この日、初のフルアルバム「この掌がまだ君を覚えている」を2022年1月19日(水)にリリースすることを発表した4人。ツアーファイナルとなったこの夜のステージで彼らは、恋愛をテーマにした日常的にして普遍的な歌、そして、ライブハウスで鍛えられた力強いバンドサウンドを響かせた。


北海道在住の3ピースバンド・KALMAが性急かつアグレッシブなステージを見せつけた後、moon dropのライブが始まった。オープニングは「オレンジ」。初の全国流通盤「花束のかわりに」(2018年5月)に収録された人気曲だ。<オレンジの鉄を揺れして/また君に会いに行く>というフレーズを浜口飛雄也(Vo&Gt)弾き語りで歌い、「ツアーファイナル、よろしくお願いします」という言葉とともにバンドが加わり、切なさと生々しさを共存させたグルーヴが出現。ノスタルジックな雰囲気の歌がゆっくりと広がった。さらに今年8月にリリースされた「水色とセーラー服」では疾走感に溢れたサウンドととともに10代の恋愛模様を瑞々しく描き出し、「KALMAがでっかいバトンをつないでくれたから、思い切りやりたいです! いいですか、渋谷!」というMCに導かれた「シーブリーズと君の匂い」)(3rdミニアルバム「拝啓 悲劇のヒロイン」/2021年1月)ではさらにテンポを上げ、<僕の心臓の音/ボリュームを上げてくれ>というフレーズとともに会場のテンションをしっかりと引き上げた。


「自分たちのイベントでO-WESTまで来ました。KALMA、最高のライブしてたでしょ? 負けないように、俺らなりのラブソングを歌いたいと思います!」というMCのあとは、moon dropの豊かな音楽性を体感できる場面が続いた。

恋人と別れた後の思いと<愛だ恋だなんだ歌ってそれなりに生きてこう>という歌詞が響き合うアッパーチューン「誰でもいいのだ」(「拝啓 悲劇のヒロイン」)、素朴なシャッフル・ビートに乗せて、<君の心のヒーローに/ど真ん中になりたいな>と願う「ヒーロー」(「拝啓 悲劇のヒロイン」)、失恋の喪失感をリリカルに綴ったミディアムバラード「恋の断捨離」(「花束のかわりに」)、そして、孤独な夜と“美しい日々”への思いをつなぐ「君に捧ぐ」(2ndミニアルバム「スタンドバイユー」/2019年4月)。リアルな感情を普遍的な歌へと昇華するソングライティング、生々しいエモーションを込めたボーカルこそがこのバンドの軸なのだと、改めて実感することができた。また、多彩なビートで楽曲のボトムを支える原一樹(Dr)、エッジの効いたバッキングとメロディアスなフレーズを繰り出す清水琢聖(Gt)、骨太なベースライン、卓越したコーラスでアンサンブルの要を担う坂知哉(Ba)によるバンドサウンドも魅力的。通底しているのは、“歌を際立たせる”という意識だろう。


「ダメダメでも、ヘタクソでも、伝わると思うから、ここにいる。自分のままで、最後まで、自分のいちばん好きな音楽を歌って帰ります」という言葉に導かれた哀切なラブソング「僕といた方がいいんじゃない」(「拝啓 悲劇のヒロイン」)からライブは後半へ。

「夢みたいな時間にしよう!」と呼びかけた「シンデレラ」(「拝啓 悲劇のヒロイン」)ではポップな空間を演出。また、“元カノ”に向けたロックナンバー「ex.ガールフレンド」(1st E.P「告白前夜e.p」/2020年4月)からは、ライブバンドとしての力量がダイレクトに伝わってきた。本編ラストは今年10月リリースの新曲「リタ」。ストリングスの音を取り入れた壮大なアレンジ、叙情性に満ちた旋律、<私が私であるために/これから先も君だけがいい>という歌詞が一つになったバラードが会場を包み込み、大きな感動に結びついた。

アンコールを求める手拍子に導かれ、メンバー4人は再びステージへ。1stフルアルバム「この掌がまだ君を覚えている」のリリースを告知し、「どんどん進んでいくぞ! ただ、誰一人置いていかんから! 一緒にいろんな夢を見たいと思っているので、これからもよろしくお願いします」と語り掛けると、客席から大きな拍手が巻き起こった。

最後に演奏されたのは、「花束のかわりに」(「花束のかわりに」)。<今夜あなたを思っていた/誰にも見せない夜がある>――バンドの原点とも言えるアンセムを大音響で鳴らし、ライブはエンディングを迎えた。

2022年1月19日に1stフルアルバム「この掌がまだ君を覚えている」をリリースし、2月14日からは全国ツアー“moon drop 1st Full Album「この掌がまだ君を覚えている」Release Tour 2022「あの街ラブストーリー」”を開催するmoon drop。来年のさらなるジャンプアップの起点となる、意義深いライブだったと思う。


文 : 森朋之

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